出生前診断とは
出生前診断とは、胎児に病気や染色体異常がないかどうかを調べる検査です。
妊婦の血液検査でできるものもあれば、羊水を採取して調べるものもあり、胎児の命を考える検査でもあるため、特に35歳以上の高齢出産をひかえた妊婦には深刻な問題になっています。
出生前診断は主に、「胎児ドック」、「母体血清マーカー検査」、「新型出生前検査(NIPT)」、「羊水検査」の4種類です。
胎児ドック(胎児スクリーニング検査)
胎児ドックには、11〜13週頃に行われる初期胎児ドックと、19〜22週頃に行われる中期胎児ドックがあります。どちらも超音波検査です。
初期胎児ドック:NT(後頚部の厚み)、鼻骨、へその緒や静脈の血流をチェックし、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常の確率を調べます。
染色体異常の確率がわかるだけであって確定検査ではないものの、染色体異常とは別の病気などを早期発見できるメリットがあります。
中期胎児ドック:胎児の形や大きさ、骨格や血管、脳、内蔵の発育状態に異常がないか、など、主に目で見て分かる異常を見つける検査です。
胎児の向きなどによって見えない部分があったり、全ての異常が発見できるわけではありませんが、胎児に異常が見つかった場合には妊娠中に治療が受けられたり、生まれてすぐ適切な処置を受けられるための準備と言えます。
母体血清マーカー検査
妊娠15〜21週ごろまでに、妊婦の血液を採取して調べます。
血液中の4つの成分を調べるものをクアトロテスト、3つの成分を調べるものをトリプルテストと言います。
ダウン症や18トリソミー、13トリソミー、開放性神経管奇形(脳や脊髄の障害)の可能性がわかります。
この成分の数値と妊婦の年齢から異常のある確率を計算しますが、妊婦が高齢であるほど染色体異常の確率が高く出る傾向にあります。
この検査は異常がある確率を知ることができるだけで、確定検査ではありません。
陽性だった場合に羊水検査を受けることを考えている場合は、17週までに受けるべきでしょう。
新型出生前診断(NIPT)
妊婦の血液を採取して、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常の可能性を調べます。
母体血清マーカーよりはるかに精度は高く、陰性の判定が出た場合は染色体異常の可能性は極めて低いと言えます。ただし、陽性の場合は異常がある可能性が高いことが分かっただけなので、確定検査を受ける必要があります。
またこの検査は、受けられる病院がまだ限られており、①出産時35歳以上である ②妊婦または夫に染色体異常がある ③染色体異常の子供を妊娠、出産したことがある ④超音波検査などで染色体異常の可能性が高いと指摘されている のどれかに当てはまる妊婦でなければ受けることができません。
羊水検査
羊水を採取して、羊水中に含まれる胎児の細胞を調べることによって胎児の染色体異常を見つける確定検査です。妊娠15〜18週の間に受けられます。
ダウン症や18トリソミー、13トリソミーのほか、性染色体の数の異常や染色体の構造の異常、開放性神経管奇形の有無もわかります。もちろん、胎児の性別も確定します。
もし妊婦が高齢などで羊水検査を受けることを決めているのであれば、母体血清マーカー検査や新型出生前診断を受ける必要はないでしょう。
ただし、子宮に針を刺すので検査後に抗生剤などの薬を飲む必要があり、それでも感染症などが原因で0.3%くらいは流産の可能性があります。
参考
胎児ドック(胎児スクリーニング検査)とは?費用や内容は? - こそだてハック
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